アーティスト・イン・レジデンス × 国際ラーニングプログラム「みんなで響きをラーンする!」

このたび山中suplexでは、アーティスト・イン・レジデンス × 国際ラーニングプログラム「みんなで響きをラーンする!」を開催します。
ゲスト・アーティストには、インドネシア・スラバヤを拠点とするヘルミ・ハルディアン&アンジェラ・スナリョ(WaftLab / Biohaha)、およびインドネシア・ジャティワンギを拠点とするテディ・ヌルマント(Jatiwangi Art Factory)を迎え、さらに国内からも、多彩な文化実践者をリサーチ・コラボレーターとして招聘します。 今年は、音楽・伝統芸能・生活文化に焦点を当て、期間中には共に学び合う多様なラーニングプログラムを実施。最終成果発表は、プログラムの振り返りトークや、ワークショップ成果のパフォーマンスなどを行います。「オープンスタジオ2025」と同日に開催予定です。
皆さまのご参加を心よりお待ちしております🎶 

Yamanaka Suplex presents “Learning Resonance Together!”
Artist-in-Residence × International Learning Program
We are excited to welcome Helmi Hardian & Angela Sunaryo (Waft Lab / Biohaha) and Tedi Nurmanto (Jatiwangi Art Factory). This year’s focus: music, traditional arts, and everyday culture 🎶 Join us for various learning programs and final presentations during Open Studio 2025 (Aug–Sep).

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アーティスト・イン・レジデンス × 国際ラーニングプログラム「みんなで響きをラーンする!」
期間:2025年8月13日[水]〜9月13日[土]
ゲストアーティスト:ヘルミ・ハルディアン&アンジェラ・スナリョ (WaftLab / Biohaha)、テディ・ヌルマント (Jatiwangi Art Factory)
リサーチ・コラボレーター:黒川 岳、佐藤 健大郎 × 武田 力、山田 春江
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■アウトライン

共同スタジオ・山中suplexが位置する滋賀県大津市山中町には、独自の盆踊り「山中江州音頭」や伝統的な食文化、石仏・石橋といった歴史的造形物が今も残されていますが、こうした文化は、継承してこられた住民の高齢化により急速に失われつつあります。

本事業では、「周辺環境や生活の中に息づいていた表現や共同性を学び合うこと」をテーマに、インドネシアより、音楽・民俗芸能・地域資源を融合した活動を展開しているヘルミ・ハルディアン&アンジェラ・スナリョ (WaftLab / Biohaha) と、テディ・ヌルマント (Jatiwangi Art Factory) を招聘し、山中suplexのスタジオに滞在しながら、リサーチや市民参加型のプログラムを実施します。また、海外のアーティストに加え、国内でも音楽や伝統芸能を主軸に活動する多彩なリサーチ・コラボレーターたち (黒川岳、佐藤健大郎×武田力、山田春江 ) として招き、多角的な視点から地域の文化と環境にアプローチする機会を創出します。

「みんなでラーンする!」シリーズは本年度で2度目の事業となります。タイトルの「ラーン」(Learn) は、異なる背景を持つ人々が双方的なコミュニケーションのなかで、気づきや学びが得られる実践が生まれてほしいという期待が込められています。

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■ラーニングプログラム
※各プログラムの詳細は近日中にウェブサイト・SNSで公開予定です。
※プログラムの参加費は1,000円です。当日現金をご用意ください。
※ワークショップの申込リンク:https://forms.gle/7cnxk83orbt8QWny9
※ワークショップ中は適宜休憩あり

●佐藤 健大郎 × 武田 力

トーク「もう民俗芸能なんて要らないよね?ーアートとの接点から眺めてみるー」
日時:8月17日[日] 18:00-19:30
場所:旧大津公会堂・多目的ホール(滋賀県大津市浜大津1丁目4-1)
[佐藤さん&武田さんから皆さんへ]
祭りや先祖供養など、土地に根ざして各地で育まれてきた民俗芸能。しかし、民主主義と資本主義が浸透した現代における民俗芸能は、男尊女卑などの権力構造を未だに保持する旧弊ではないでしょうか? また、経済効果が期待できる都市の民俗芸能ならまだしも、過疎高齢化が進む集落の民俗芸能を、税金を費やしてまで続ける価値はあるのでしょうか?
対して「日本の古くからの伝統は絶対に守るべき」と考える人もいます。この分断するいずれの思想にも通じる補助線を、アートを用いた民俗芸能の実践から導き、その接点から民俗芸能のこれからの可能性や不可能性を考えます。
※トーク申し込みリンク:https://forms.gle/Yty7D4GnsezSg5aEA 

●ヘルミ・ハルディアン&アンジェラ・スナリョ(WaftLab / Biohaha)

ワークショップ「Sensewalking Flux:感覚をめぐる変容の散歩」
日時:8月24日[日] 13:15-17:15
場所:山中suplex/Yamanaka Suplex (〒520-0017 滋賀県大津市山中町91)
人数:8名 (定員に達したため、申込受付は終了しました
対象:どなたでも(小学生以下は保護者同伴)
インドネシアから来日したゲストアーティストが山中suplex滞在中に企画します。五感をひらいて自然の中を歩き、その体験を音と地図で表現するワークショップを予定しています。

●黒川 岳

ワークショップ「山中の響きを聞く:山中suplexの丸太たたき」
日時:8月30日[土] 13:15-17:15
場所:山中suplex/Yamanaka Suplex (〒520-0017 滋賀県大津市山中町91)
人数:10名
対象:中学生以上
持ち物:汚れてもいい服、運動靴あるいは長靴、軍手、タオル、水分 (水筒など)、おやつ
備考:雨天決行です。雨天時は雨具をお持ちください。
[黒川さんから皆さんへ]
山中suplex周辺の野外で音を鳴らし、その響きに耳を傾けてみましょう。この日は最初に山中に生えている木を切らせてもらい、それを素材に皆で音を鳴らす為の音具を作るところから始めます。
自らの手で発した音が山の起伏や川面に反射したり吸収されていく様子を感じ取りながら、山の姿を耳で味わいます。
たった一発(?)の音の為に真夏の外作業をすることにやぶさかでない老若男女の皆様、是非お立ち合いを! 

●山田 春江

ワークショップ「どこどこ?マイソング」
日時:8月31日[日] 13:15-16:15
場所:山中suplex/Yamanaka Suplex (〒520-0017 滋賀県大津市山中町91)
人数:7名 (定員に達したため、申込受付は終了しました
対象:どたなでも(小学生以下は保護者同伴)
持ち物:筆記用具、録音機(ボイスレコーダーやスマートフォンなど。お持ちでない場合は申込時にお知らせください)、飲み物、暑さ対策
[山田さんから皆さんへ]
日常の中に埋もれている“マイソング”を掘り起こすワークショップです。
この夏、山田が山中比叡平地域の周辺で出会った民謡や仕事歌を少しご紹介しながら、土地に潜む詩やリズムに耳を澄ませます。
さらに皆さんが子どもの頃に聴いた子守唄の記憶をたどり、それぞれの音のルーツを探ります。
WSの最後には、いつもポケットに入れておけるお守りのような「マイソング」を一緒に作ってみましょう!
歌うことが得意でなくてもだいじょうぶ。声や音の欠片から自分だけの一曲を紡ぎ響かせてみませんか。

●テディ・ヌルマント(Jatiwangi Art Factory)

ワークショップ「Singing Soil:奏でる土」
日時:9月6日[土] 11:00-13:00
場所:山中suplex/Yamanaka Suplex (〒520-0017 滋賀県大津市山中町91)
人数:10名
対象:どなたでも(小学生以下は保護者同伴)
インドネシアから来日したゲストアーティストが山中suplex滞在中に企画します。レジデンス中に発見・制作した楽器を用いて、皆で音楽を演奏するワークショップを予定しています。
※13:30からの最終成果発表で実演する時間もあります。あわせてご参加頂けますと幸いです。 

■最終成果発表
日時:2025年9月6日[土] 13:30〜17:00
登壇者:ヘルミ・ハルディアン&アンジェラ・スナリョ (WaftLab / Biohaha)、テディ・ヌルマント (Jatiwangi Art Factory) 、武田 力、黒川 岳、山田春江
*日英逐次通訳あり
*当日は山中suplex「オープンスタジオ2025」を開催しております。スタジオメンバーの作品も鑑賞いただけます。
[事前予約不要]
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■クレジット
主催:山中suplex/Yamanaka Suplex
助成:公益財団法人 福武財団、公益財団法人 小笠原敏晶記念財団、令和7年度文化を活用した地域交流創出事業 (滋賀県)
企画:池田佳穂 (山中suplex 共同プログラムディレクター)
アシスタント:平野成悟
コーディネーター:八木志菜
広報デザイン:山本洋明
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■プロフィール 
ゲストアーティスト:
ヘルミ・ハルディアン (WaftLab / Biohaha)

草の根のアーティストであり、「ghetto scientist (スラム街の科学者)」でもあります。料理と喫煙を同時に行うというユニークな興味を持っています。彼は、産業と技術で知られ、電子部品取引の中心地でもあるスラバヤに住んでいます。そのため、彼の作品のほとんどは、科学や技術を創造の媒体として密接に関連しています。またヘルミは学際的な実践に取り組む創造的なイニシアチブ「Waft Lab」の共同設立者です。現在は「Biohaha (バイオハハ)」の活動の中で、DIY/DIWO (自分で作る/みんなで作る) 文化を通じた技術開発に注力しており、日常の素材を研究・ハック・分解することで、既存のものに新たな機能性を与える装置の開発を行っています。また、ワークショップキット、講義用コンテンツ、プレゼンテーション資料の制作を通じて、「学び」「共有し」「知識を交換する」ことを目指しています。


アンジェラ・スナリョ (WaftLab / Biohaha)

インドネシアのバンドンを拠点とするメディアアーティスト兼研究者であり、彼女の活動は音、記憶、生態、都市空間といったテーマに関わっています。ディープリスニング、フィールドレコーディング、サイトスペシフィック・インスタレーション (特定の場所に応じた作品設置) などの手法を用い、集合的記憶や環境変化によって形づくられた複雑な歴史と感覚的地理を探求しています。Biohahaの一員として、アンジェラはアーティスティックなリサーチと身体的実践をつなぐワークショップや介入型の活動を行っています。彼女の作品は、インドネシア、チェコ共和国、日本、韓国、タイで展示されました。2024年には、バスオエキ・アブドゥラ芸術賞 (Basoeki Abdullah Art Award) を受賞し、J+Artアワードの受賞者にも選ばれました。最近では、韓国・光州の国立アジア文化殿堂と釜山のDugu Art Spaceにて、「Sensewalking Flux (センスウォーキング・フラックス)」ワークショップを共同開催しました。


テディ・ヌルマント (Jatiwangi Art Factory)

住民の多くが日常的に屋根瓦や土器の労働に従事する、東南アジア最大の屋根瓦生産地であるジャティワンギを拠点に活動する音楽家・作曲家。地域の暮らしや風土から着想を得て、大地や粘土を楽器として用いるユニークな音楽表現を追求しています。彼は、現代・実験・参加型アートを行う非営利団体「Jatiwangi Art Factory (JAF)」の音楽ディレクターを務め、地域住民とともに粘土製のギター、管楽器、打楽器、木琴などを制作し、共同制作・演奏を行っています。
代表作「Rampak Genteng」では、1万人の屋根瓦奏者による大規模な演奏を指揮。Hanyaterra、The People Clay、Lairなどのグループでも活動し、国内外で高い評価を受けています。2016年には、米国「OneBeat」にインドネシア代表として参加しました。

リサーチ・コラボレーター:
黒川 岳(くろかわ・がく)

1994年島根県生まれ。京都府在住。自らの体を用いて様々な物・事にきちんと触れる (触れようとする) ことの喜びや不思議さ、難しさなどと向き合いながら作品制作を行なっている。山中suplexにはこれまで行ったことがなかったが、今回のワークショップの機会をいただいて初訪問。周辺の広々とした自然環境が気に入っています。


佐藤 健大郎(さとう・けんたろう)

ダンサー・振付家。2000年より国内外のコンテンポラリーダンスの作品に多数出演。2019年、滋賀県大津市比叡平に移住。野田まどかと「比叡平ダンスクラブ」を始動。ミュージカル、モダンダンス、武道などのエッセンスを分解、再構築し、「関わり」の中で生まれるダンスを考察している。
近年は大学でのWS、小学校の出前授業、山中比叡平の盆踊りの復活、ロームシアター京都・滋賀県立美術館のPV出演、びわ湖•アーティスト・ミングル2023「ガチャ・コン音楽祭Vol.3」に出演、演出。2024年、千代その子と「はまダンス企画」を始動、滋賀県事業「滋賀をみんなの美術館に」プロジェクトに採択され、ダンスの歴史を展示する作品「風展」を発表。地域コミュニティの営み、歴史、地形を基にダンスというメディアを問い直し美的体験を提供している。


武田 力(たけだ・りき)

幼稚園勤務を経て、演劇カンパニーのチェルフィッチュに俳優として参加。欧米を中心に活動するが、東日本大震災を機に演出家に。「警察の指導」「たこ焼き」「小学校の教科書」など日常に近いモノコトから、観客と一緒に思索する作品を展開する。また、過疎高齢化により途絶した滋賀県朽木古屋の六斎念仏踊りにアートを用いて関わるなど、各地の山間集落における民俗芸能の復活や継承を、地元住民と協働して行っている。他、フィリピンや中国での滞在制作、東京都現代美術館での展示など、その活動範囲は多岐に渡る。
2019年には国際交流基金「アジア・フェローシップ」にて、フィリピンとタイにおける民俗芸能とアートの関係性を調査。2021年より九州大学芸術工学部非常勤講師。2025年より東京都港区地域コミュニティ検討委員。


山田 春江(やまだ・はるえ)

京都市生まれ。京都精華大学芸術学部造形学科陶芸専攻卒業。腹話術プロジェクト「CHEKAS」として活動。無生物である人形に肉声を通すことで立ち上がる身体の境界や共鳴現象に注目し、制作・パフォーマンスを展開する。即興、コメディ、音楽、社会風刺などの様々な要素を取り入れ、自身の経験を拡張しながら、創作を行う。
近年は日本や異国の土地に古くから根ざす唄や信仰歌、詩に関心を寄せ、現地を訪れて文化を横断しながらフィールドワークと発声実践を重ねている。ピアノと声の即興音楽デュオ「瞼」のボーカルを担当。2024年「第3回F-1腹話術グランプリ」映像部門優勝。

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