国際共同調査・シンポジウム「みんなで土をラーンする!」/Learning Soil Together!
August 20, 2024期間:2024年9月7日[土]〜9月28日[土]
会場:主に山中suplex/Yamanaka Suplex (〒520-0017 滋賀県大津市山中町91)
ゲスト・アーティスト:ドーリー・フサダ
リサーチ・コラボレーター:向井詩織、村田美沙、坂本森海+三原聡一郎、横部智浩
■アウトライン
山中suplexではインドネシアからドーリー・フサダ (Dholy Husada ) を招聘し、国際共同調査・シンポジウム「みんなで土をラーンする!」を開催します。
山中suplexが位置する場所は、かつて白川砂という銘石の採掘場があり、京都の寺社仏閣のための砂や建材として長年使用されていました 。しかし条例による採掘の禁止が決まったあとは産業廃棄場所として建築業者に利用され、実は現在でもたくさんの瓦礫等が土の中に埋まっています。これは本スタジオだけに限らず、都市に近い山間部では珍しくない例であり、全国的に切実な問題になっています。
本企画では、インドネシア・ジョグジャカルタを拠点に「土壌」に焦点を当てプロジェクトを行うドーリー・フサダをゲスト・アーティストとして招聘し、約1か月間、山中suplexのスタジオに滞在しながら、土や地域にまつわる問題や可能性をみんなで広く共有することを試みます。さらに、滞在期間中には京都・滋賀を拠点とする多彩なリサーチ・コラボレーターたち (向井詩織、村田美沙、坂本森海+三原聡一郎、横部智浩) と協働しながら、知識体験の共有や参加者との対話に重点を置いたプログラム群を数多く実施し、今ではただの「通り道」として認識されている山中町の歴史や資源に着目しつつ、汚染や不法投棄というネガティブな印象自体を更新していきます。
タイトルの「ラーン」(Learn) は、異なる背景を持つ人々が双方的なコミュニケーションのなかで、気づきや学びが得られる実践が生まれてほしいという期待が込められています。土壌環境や植生にまつわる問題や可能性について、みんなで一緒に学びましょう!
■プログラム
①ノンクロン (公開おしゃべり会)
会場:山中suplex/Yamanaka Suplex
ドーリーとリサーチ・コラボレーターによる公開おしゃべり会です。お茶を飲んだり、会場である山中suplexのスタジオ内を歩いたりしながら、各自の活動紹介から雑談に至るまでリラックスした雰囲気で交流する予定です。参加費無料、途中参加退出可能です。
9月7日[土] 13:00〜15:30【終了しました】
9月14日[土] 13:00〜15:30【終了しました】
9月21日[土] 13:00〜14:00【終了しました】
※21日はノンクロン後にワークショップ開催予定。
②ワークショップ (オープンラボラトリー)
会場:山中suplex/Yamanaka Suplex
リサーチ・コラボレーターによる、山中suplexの環境を生かしたワークショップを開催します。一方的に技術を伝えるのではなく、コラボレーター自身の持っている知識体験を参加者と共有し、意見や感想を積極的に交換することを目的とします。
【ワークショップ予約方法】
下記のフォームに必要事項をご記入のうえ、送信ください。参加費 (1,000円) は当日受付にて現金でお支払いください。https://forms.gle/zqGTuTittuckULLk6
イ: 横部智浩「みんなで土を掘ってみる」【終了しました】
9月21日[土] 14:00〜16:30
山中suplexの敷地内で数か所の穴を掘って土壌の様子を観察して人の利用や自然などに関してみんなで考えてみましょう。
内容:4班ほどに分かれて穴を掘る場所を2-3か所ほど決めます。例えば人が使っていた場所 (瓦礫等が埋められていたであろう場所等) や草木が生い茂る場所です。次に土壌断面がどのような状態か予想してもらいつつ実際に穴を掘って様子を観察してもらいます。最後に全ての土壌断面をみんなで観察しながら話し合います。
————
参加費:1,000円
対象:どなたでも (小学生までは保護者の立ち会い必要)
定員:20名程度
持ち物:汚れてもいい服、運動靴あるいは長靴、タオル、水分 (水筒など)
備考:適宜雨具もご持参ください。
ロ: 坂本森海+三原聡一郎「Compost Me」【終了しました】
9月22日[日] 11:30〜15:00
野菜の切れ端などのキッチンで出てくるような生ゴミをコンポスト化すると、微生物によって分解され堆肥に変わることは、なんとなく知られています。それは有機物でできている人間の体でも同じです。このワークショップでは、自分の体がコンポストによって分解された未来を想像し、その堆肥をいれる植木鉢を作る少し変わった陶芸教室です。ぜひお越しください。
————
参加費:1,000円
対象:どなたでも (小学生までは保護者の立ち会い必要)
定員:10名
持ち物:汚れてもいい服、タオル
備考:お昼休憩を挟むため、各自お弁当をご持参ください。
焼き上げた作品は、後日、着払いにて発送いたします。
ハ: 村田美沙「山をケアしてイートする!」【終了しました】
9月22日[日] 15:15〜17:15
山をケアするとは?山を食べるとは?
山中町エリア周辺の自然環境を散策し、現在の植生を観察してみます。また、昔はあったはずの植生と現在を照らし合わせてみましょう。そしてその現実をみんなで飲んで、食べてみましょう! 食を通して、山と対話し、あたらめて周りの自然環境を感じた時に、私たちはどのような気持ちになるのでしょうか?
————
参加費:1,000円
対象:どなたでも(小学生までは保護者の立ち会い必要)
定員:6名
持ち物:お気に入りのマイカップ
備考:気になる方はエプロンなどの作業着 (飲み物をつくります)
ニ: 向井詩織「草木染めブロックプリント」【終了しました】
9月23日[月・祝] 11:30〜15:00
草木染めで布を染めるブロックプリントのワークショップです。約50年以上前に彫られた木版の他、様々な版を使用して、好きな模様を染めてみましょう! パキスタンとインド国境付近で受け継がれている「アジュラック」を再現したペーストを用意して、皆様のお越しをお待ちしています。試してみたい版木やハンコをお持ちの方は是非ご持参ください。乾燥待ちの時間に行うスライドトークでは、インドの力強い布についてや、これまでの活動についてお話します。
————
参加費:1,000円
対象:5歳程度から大学生まで (小学生までは保護者の立ち会い必要)
定員:20名程度
持ち物:バスタオル (汚れる可能性あり)
備考:お昼休憩を挟むため、各自お弁当をご持参ください。
試してみたい版木やハンコがあればお持ちください。
③国際シンポジウム
ドーリー・フサダおよびリサーチ・コラボレーターたちがプログラムを通して発見したことを中心に発表し、山中suplexの土壌活用方法をみんなで模索します。
日時:2024年9月28日[土] 13:00〜17:30 (途中休憩あり/途中入退場自由)
会場:山中suplex/Yamanaka Suplex
登壇者:ドーリー・フサダ、向井詩織、村田美沙、坂本森海+三原聡一郎、横部智浩
司会:池田佳穂 (山中suplex 共同プログラムディレクター)
*日英逐次通訳あり
入場無料 (ドネーション制)[事前予約不要]
■関連イベント
①【終了しました】Yamanaka Suplex Open Studio 2024:11年目、常夏の終わり
日程:2024年8月31日[土]、9月1日[日] 11:00〜18:00
会場:山中suplex/Yamanaka Suplex(〒520-0017 滋賀県大津市山中町91)
入場無料 (ドネーション制) [事前予約不要]
詳細:https://www.yamanakasuplex.com/news/yamanaka-suplex-open-studio-2024
②【終了しました】トークイベント「ドーリー・フサダのカジュアルな交流会」
日程:2024年9月6日[金] 19:00〜21:00
会場:INTA-NET KYOTO (京都三条京阪) *イベント終了後の21〜22時は通常営業
山中suplexに滞在しているドーリー・フサダが、この度京都側に下山。カジュアルなトークイベントを実施します。2022年にINTA-NET KYOTO主催のもと実施されたオンラインプロジェクト「レシピライブラリー」をはじめ (調理法、食文化/歴史、農業、関連した文化活動及びエピソードを広く「レシピ」として捉え、集積したプラットフォーム)、これまでジョグジャカルタで行ってきた土壌開発やファーミングに関する実践を共有します。
登壇者:ドーリー・フサダ (山中suplex レジデンスアーティスト2024) *日英逐次通訳あり
司会:堤拓也 (山中suplex 共同プログラムディレクター)
入場無料 (ドネーション制)[事前予約不要]
■クレジット
主催:山中suplex/Yamanaka Suplex
協賛:INTA-NET KYOTO
助成:公益財団法人 ポーラ美術振興財団、公益財団法人 小笠原敏晶記念財団
令和6年度「滋賀をみんなの美術館に」プロジェクト採択事業
企画:池田佳穂、堤拓也 (山中suplex 共同プログラムディレクター)
コーディネーター:八木志菜
広報デザイン:清水真実
■参加者プロフィール
★ドーリー・フサダ/Dholy HUSADA (山中suplex レジデンスアーティスト2024)
ジョグジャカルタを拠点に活動。ライフパッチのメンバーとして、Kombucha (発酵茶)、ヨーグルト、ハーバルドリンクなどの発酵や食物の企画のほか、タイダイ染めのワークショップなどを行う。そのほか、インドネシアの食物や飲料にまつわる議論を行うべく、数多くのコミュニティや組織に積極的に参加。現在は理論性と実践性の両視点を踏まえ、民間療法で用いられている生薬を使用したハーバルドリンクの調査とレシピ開発に取り組む。また、2019年にパーマカルチャーデザインコースに参加。パーマカルチャーの知識を実世界で検証するためにフィールドスタディを数多く実施しており、現在は土壌科学に深く関わる。土壌の実験を通じて、人々、植物、地球にとってどのように土壌が役立つかを理解し、人間のエラーによって自然の循環がどのように断絶しているかを理解することが重要だと考えている。
*パーマカルチャー (Permaculture) は、持続可能な生活と環境の設計を目指す方法論
★向井詩織/Shiori Mukai
ブロックプリンター、テキスタイルアーティスト。インド西部カッチ県と山中suplexの2拠点で、天然染料のブロックプリントをしている。カッチの工房は、本来はムスリムかつ男性だけの工房だが、テキスタイルアーティストとして単身で乗り込み、従来にないブロックプリントならではの模様を模索。日本では制作と展示活動を基盤に、ワークショップや講演などを行う。
★村田美沙/Misa Murata
京都拠点のアーティスト、植物療法士。自然そのものが持つ物語や歴史、それを取り巻く社会問題をリサーチし、詩的な要素を織り交ぜたアプローチをとり、フィールドワークを通じて得た知見を作品に反映させている。自然を介して人と人が繋がることを「コミュニケーションアート」として表現することを目指し、集合的な体験を創出するために、インスタレーション、パフォーマンス、または自然素材を使用した対話型の作品を制作している。対話を通じて、観客が自然と直接的に関わりを持ち、その美しさや社会的重要性を感じる機会を提供している。主な展示に、Mother Nature (2022年、東京)、來自未來市場的「舶來品」9個推測未來的台日實驗 (2022、台湾)、山梨国際芸術祭 八ヶ岳アート・エコロジー2023 (山梨) がある。
★坂本森海/Kai Sakamoto
陶芸家。1997年生まれ、長崎県出身。2019年旧京都造形芸術大学美術工芸学科総合造形コースを卒業。同年からシェアスタジオ・山中suplexに在籍。陶芸の制作過程や陶芸が使われることに着目し、「陶芸」の枠組みを解体・再構築するように展開している。 主な展覧会に、「ATAMI ART GRANT 2023」 (熱海駅地下通路)、「Ceremonial Ceramics -身體感/やわらかな石-」 (山中suplexの別棟「MINE」、2023) など。
★三原聡一郎/Soichiro Mihara
アーティスト。世界に対して開かれたシステムを提示し、音、泡、放射線、虹、微生物、苔、気流、土、水そして電子など、物質や現象の「芸術」への読みかえを試みている。2011年より、テクノロジーと社会の関係性を考察するためのプロジェクトを国内外で展開中。2022年より「3月11日に波に乗ろう」共同主催。近年、これまでの活動を「空気の芸術」として、振動、粒子、呼吸というカテゴリーに基づいたアーカイブ実験をレシピの形式に基づいて進めている。
★横部智浩/Tomohiro Yokobe
京都大学 フィールド科学教育研究センター 特定研究員。奈良県出身。京都大学大学院博士後期課程修了、博士 (農学)。専門は生態系生態学、森林土壌の微生物と炭素・窒素動態の関連。2024年7月より「里山の土壌を知るプロジェクト 2024 ~市民参加型の全国里山土壌調査~」の主任を務めている。
■お問い合わせ
山中suplex/Yamanaka Suplex
yamanaka.suplex@gmail.com(担当:池田、堤)