小笠原周個展「1985らへん」/Shu Ogasawara: Around 1985
July 25, 2024この度、VOU bldg. / 棒ビル 1Fギャラリースペースにて、小笠原周「1985らへん」を開催します。これまで幼少時代よりマンガに影響を受けた小笠原は、旧京都造形芸術大学にて彫刻を学び、学部卒業後も一貫して彫刻と向き合ってきました。また個人の制作・ 発表だけに限らず、2014年には立体物のための共同スタジオ・山中suplexを立ち上げ、さらに「ゲンビどこでも企画公募2018」展での五十嵐太郎賞(2018年)や、尼崎市文化未来奨励賞(2018年)、さらに彫刻自体を再考する自主的な取り組みとして、「 問題のシンボライズ ー彫刻・身体・男性性ー」展(2023年)、「おまえのための///」展(2024年)の企画・実施など(熊谷卓哉、米村優人との共同)、活動の幅をますます拡張しています。そのような多岐に渡る「彫刻へのアプローチ」を踏まえ、本展では作品それぞれが100kgを超える大型のレリーフ彫刻を扱います。 これまで《ピエタ》(2022年)や《夫婦》(2022年)によって試みられてきたレリーフ形式への再着目は、スマートフォンで撮影された小笠原と同じく1985年生まれの友人たち(=京都ゆかりの身近なアーティスト)を主題とすることを通して、「社会的には表象不要なものの表象」かつ「無用のものとしての彫刻」(千葉真智子評)という方向性をさらに押し進めることになります。小笠原が長年に渡る試行錯誤を経て生み出した、平面的・日本的な漫画表現と、立体的・西洋的な彫刻の折衷点としての肖像レリーフをぜひともご覧ください。
◾️アーティストステートメント
今回の展覧会で展示される作品は、一見するとその素材感やこれまでのイメージから、墓石や偉大な人物の肖像のように見える。しかし、モデル達は僕と同じような状況を生き、生活で度々顔を合わせる人物であり、死や権威といったイメージを持つことはない。作品に刻まれる友人たちの姿は、鑑賞者の見方次第では、それぞれの身近にいる誰かのように見えるかもしれないし、河原に落ちている石に何かを見立てるように、誰かが知らない誰かは、この先もずっと誰かになり得る。僕の同い年ということは、文化や社会において小さな共通の経験や記憶を持つという一方で、一般的にレリーフという形式は、共有されるべき物語や、大きな歴史的場面を表現するために利用されてきた。それらを踏まえ、今を生きる僕と同い年の彼らが肖像レリーフとなって石に刻まれたこの作品は、自分の周辺をただ表現するものであると同時に、未来においては現時点の歴史的場面の表現になる可能性がある。さらに未来の鑑賞者にとっては、未来時点での現代性を獲得することも可能であると考えている。
◾️開催概要
日時:2024年7月27日(土)〜9月8日(日) [入場無料]/木曜定休
時間:13:00〜19:00
会場:VOU bldg. / 棒ビル 1Fギャラリースペース
◾️クレジット
企画:小笠原周
什器制作:若林亮、たま製作所
照明:十河陽平
相談・執筆・広報:堤拓也
協力:山中suplex/Yamanaka Suplex
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We are pleased to announce that Shu Ogasawara: Around 1985 is taking place at VOU bldg. from July 27 to September 8. Based on a diverse approach to sculptural form, this show deals with the work of 4 relief sculptures of stone weighing over 100 kg. The exhibition will reexamine the relief form his past works by carving the figure of his friends born in around 1985. According to Machiko Chiba’s review, these sculptures are basically “representations of things that do not need representation in society and history”. We kindly invite you to view the portrait works that Ogasawara has created through years of trial and error as an eclectic mix of two-dimensional, Japanese-style manga expression and three-dimensional, Western-style sculpture.
◾️ Outline
Shu Ogasawara: Around 1985
Exhibition Period: July 27 (Sat.) – September 8 (Sun), 2024 [free admission]/ Closed on Thursdays
Hours: 13:00–19:00
Venue: 1F Gallery Space at VOU bldg.
◾️ Colophon
Organizer: VOU bldg.
Designer: Ogasawara Shu
Display making: Ryo Wakabayashi, Tama Production
Lighting: Yohei Sogo
Support: Takuya Tsutsumi
Cooperation: Yamanaka Suplex